『スーパードンキーコング』といえばスーパーファミコンのヒット作として有名だ。
往年のビデオゲームファンならば、アーケードやファミコンにリリースされた
『ドンキーコング』シリーズの抜本的なリブート作でもあることも知るところだろう。
最近、Wii Uの新作『ドンキーコング トロピカルフリーズ』をプレイしたが
今回も夢中になってプレイできる内容に仕上がっていた。
外見には技術的・予算的な飛躍が見られるが、今回語りたいのはゲームの基幹部分。
あの難しいステージに何度も挑んでクリアしていくという難度調整がどうやって
成り立っているのかを独自の視点で探っていく。
●大量の1UP手段(たくさんのバナナ)
"アスレチックアクション"といえばステージに配置されるアイテムの存在が挙げられる。
コインとかリングとかバナナとか…金色で100個集めると1UPできるあたりもそっくりだ。
こういったアイテムはゲームのクリアと直接関係はないが、ゲームオーバーにならないように
集め続けることで「何度でも挑戦し、失敗していいんだ」という自覚をプレイヤーに与えてくれる。
このシリーズの場合、バナナがとても多い。
●ミスポイントがずれやすい
・シンプルな踏みつけ連続ジャンプのようなアクションにもボタンを押すタイミングが求められる
・立ち止まっていると崩れ落ちたりダメージ受けるシーンが多い
失敗するポイントがやや不安定なところに注目する。
つまり極端に難しいポイントはなく、かといって油断していると思わぬところでミスをする。
ある程度のシビアさがあるとプレイヤーは意識的なプレイをするようになる。
●こまめに配置された隠しアイテムと『小さな達成感』
・動くバナナを一定時間内に集めてボーナスをゲット
・連続踏み付けを成功させてバナナコインや1UPをゲット、など
プレイヤーが中断ポイントからリトライしたとき、何もできずにまた同じところで何度も
ミスをしてしまうとやる気を失ってしまうことがある。
そういったことを起こりにくくするために『小さな達成感』を与える構造も大切なようだ。
中断ポイントの近くにはよく隠しバナナチャレンジがあり、バナナが消えるまでに全て
集めればボーナスアイテムも出現する。 少しだけ失敗する可能性があるからこそ
『意識したプレイ』が求められ、結果として小さな成功が手に入る。
このように、ミスをするまでに何かしらのアイテムを上手くとったり、自分なりに
気に入ったプレイをできたと感じられる要素がちりばめられている。
そして、そのプレイの報酬となるアイテムの多くはバナナやバナナコイン、1UPなど
ミスによって意味が完全に失われてしまうものではなく、今後に価値が継続するものに
なっている。
●小気味のいいサウンド
これが一番シンプルな要素かもしれない。
このシリーズはサウンドエフェクトの出来が秀逸だ。
"ドンドン"、"パコン"、"ドシン"、"バン"、など直接的で何かに作用した音が多い。
もしこれらが"ピュン"や"シュッ"などの音だったら爽快感や躍動感に欠けてしまう。
こういった音選びも地味にゲームを盛り立てていると感じた。
――こんな感じだろうか。
サイドスクロールのアスレチックアクションゲームでしか使えなさそうな要素が多いが、
根っこの部分を理解していけば他のジャンルにも活かせるかもしれない。
自分の場合は概念よりまずゲームとして動くところまで作らなければいけないけれど…