今月も任天堂の新型ゲーム機、開発コードネーム「NX」について妄想してみよう。

先日はコンソール用のコントローラとされる画像がリークされたが、ほどなくして
これがCGによるフェイクであることが明かされた(メイキング動画も公開された)。

この騒動の中『Game Informer』編集長・Andy McNamara氏のコメントもあり、
>(画像が本物かどうかはわからないが)NXには物理ボタンが無いと聞いたことがある
という旨の発言をしていた。

NXのコントローラは(ABXYといった)フェイスボタンがない、という情報の信憑性は
まぁそれなりだといえる。
任天堂が物理ボタンを廃止し、タッチパネル上に表示された仮想ボタンを採用すると
なれば、そこに踏み出すだけの技術的な成熟があるのが自然だ。
そこで出てくるのがiPhoneなどに採用されている
「触覚フィードバック」と「フォースセンサー」ではないか、という話。
今回はそういった方向で妄想を膨らませていく。

●触覚フィードバックについて
触覚フィードバックで有名な例は、Appleが最近採用した技術の
Taptic Engine(タプティック・エンジン)だ。

タプティック・エンジンというのは振動モーターを使って“実際にはないもの”を指に
感じさせるもの。これだけだと、今までにあったコントローラの振動と同じような印象を
受けがちだが、実際はもっと繊細な表現が可能な技術で、
>理論上、このトラックパッドはクリックだけでなく、凸凹や穴が開いたような表現や、
>ほっとするような手ざわりなど、あらゆる錯覚を引き起こすことができるはず、
とされている。

あくまで理論上の話なので、現時点でそこまでの手触りを出すのは難しいかもしれないが、
仮想ボタンを押したときに固めの"コン"、ばねのきいた"ぴょん"、という感触を返したり、
地面、水面、金属、あるいは肌をタップした時の感触が違ったり(岩ピクミンとか)、
画面上をなぞる感触をたよりに地面の中を移動するモグラ(ボス?)を探しあてるような
シーンにも応用できるだろう。

●フォースセンサー
iPhone6などは3D Touchの機能ももつ。
3D Touchはどれだけ強く押したかが感知できる、iPhone6s/6s Plusにはあって比較的安価
な新商品であるiPhone SEにはない機能だ。
具体的にはWii Fitのように重量(圧力)がどのくらいかかっているかがわかるように
圧力センサーを4隅に配置して検出している。

iPhoneでは操作がショートカットできる便利さを前面に押し出しているが、これがゲーム
専用機であれば、最初から圧力センサーを使いこなすことを前提としてゲームの仕様を設定
することができる。

これを応用すると感圧スケッチや「つまむ、押す」と「つかむ」の差を出したり、流れる
川に指をひたしたり、強く押してそのまま流れをせき止める、なんてことも可能になる。
走行しているバイクの姿勢を、スティックやジャイロセンサーを使わずに親指の圧力のみ
で静かに素早く操作することもできるだろう。

●新しいゲーム機のアイデアとしてはありえない話ではない?
過去、WiiがWiiリモコンによる操作を新しい体験として提示して成功した例や、
Wii U GamePadが発表されたとき、子供たちは既にタブレットPCに触れることができたため
真新しさを感じられなかった、という失敗例に対して、今回は現在iPhone6s/6s Plusなど
一部に使われている技術を「ゲーム専用機」に転用すれば、スマホアプリ業界で標準化され
ていない、それほど触れる機会の少ない体験をゲーム専用機で一般化して楽しめることに
なる……という新たな挑戦が計画されていてもおかしくはないと考える。

●問題になりそうな点など
もちろん懸念もある。
・物理ボタンがない、あるいは減ることに対する猛烈な反発、敵視
・インターフェースや振動のパターンを誰がつくるか、取り組んでもらえるか?
・コアなゲーム、慣れ親しんだ人気シリーズのプレイ感覚を新しくできるか?
・枯れた技術とは言えないのでは? ゲーム機の価格を圧迫しないか?
たとえゲームの操作方法が新しくなったとしても、そのゲーム機がいくらで買えるか、
好きなシリーズ、話題のゲームが遊べるかの方が重要な問題だ。

操作デバイスにコストをかけすぎてしまうとゲーム機本体の価格やパーツの予算配分が
圧迫され、肝心の性能が市場の要求に満たないものになってしまいかねないリスクがある。

コントローラがどうなるかも気になるが、性能・仕様に対するコスト面での解答が用意
されているかどうかがNXの行方を左右するのではないだろうか。

今回は触れなかったが、台湾のMacronix社がNX向けカートリッジROM用メモリを供給する
という話も出ているので、噂の携帯機と据え置き機で成立するシステムなのか、はたまた
光ディスクドライブを廃止した据え置き機なのか、いろいろと妄想は尽きない。