普段なにげなくTVドラマを見ているのだが、この態度は自分がアニメやゲームに
向ける興味に比べるとずいぶん違うと感じている。

例えばドラマ「相棒」は主要な人物についての情報さえあれば毎週のエピソードを細かに
憶えておく必要は無い。犯人の名前など日付が変わればすっかり忘れ去られているくらいだ。
さらに登場人物の名前どころか演じる役者さえ知っていれば見ていられるように感じる。

それに対してエピソードに連続性のあるアニメ作品などには視聴者に把握能力が求められる。
ある組織に属する人物Aは、敵対する主人公を追い詰めたが、自身の出自に疑問を
持ち始め、のちに再戦した主人公に打ち倒され、ヒロインBに匿われながら組織を離れた視点で
状況を見つめるようになる・・・なんてものがざらだ。
これは表現方法(実写とかアニメとか)に境界をおくような話題ではないのだけれど、多くの人の
支持を集めやすいコンテンツは、より単純な形式をとっているものが多いように感じる。
先に挙げた「相棒」や、アニメで言えば「サザエさん」「ちびまるこ」などや日常系のジャンルは
力まずに楽しめるのではないだろうか。

逆に、物語を追っていくうちに人間関係が変化したり、大きな起承転結の動きが
起こっていく「作品」は受け手にあらかじめパワーが求められるために、一度離れてしまった人や、
最初から理解力を求められないコンテンツばかりにどっぷり漬かってしまった人にとっては
手に負えないのではと想像できる。
「ゆるい」方は毎回同じようなことをやっているので安心感があるが、キャストに魅力を
感じない限りはあまり時間を割きたいとは思わない。

個人的には、「興味を持って取り組みたい」「限りある時間を割いてまで観る価値がある」と
感じるのは作品性が強い方だ。
価値があると感じるということは有料でもOKということなのだが、そもそも受け手にパワーが求め
られるという前提があるのでハードルは高くなる。 なんでも受け入れられる人はごく一部だろう。

自分の価値観を大きく揺さぶってくれるような作品の登場を望んでいる一方で、それが安易に
与えられるものではないこともわかる。
作品性が強いものと、比較的ゆるいものとのバランスが改善すれば、コンテンツを楽しんで
触れてくれる人がもっと増えるのではないだろうか。