8/29のニンテンドー3DSダイレクトでニンテンドー3DSの新型、
『Newニンテンドー3DS』 と 『Newニンテンドー3DSLL』 が発表された。
その仕様から今後の展開について考えてみよう。

●価格・発売時期・機能について
Newニンテンドー3DSが16,000円、Newニンテンドー3DSLLが18,800円(共に税別)
発売は2014年10月11日。今年中に発売するのは日本国内のみのようだ。

3DS から New3DS へはACアダプタの価格を加えて 1952円(税別)の値上げ、
3DSLL から New3DSLL へは800円(税別)の値上げ、ということになる。

では、値上げした分はどこが強化されているのだろうか。下にまとめていく。

・CPUの強化(メニュー動作やダウンロード時間の改善)
・CスティックとZL、ZRボタンの追加
・NFCリーダ・ライタ機能の追加
・カメラによる3Dブレ防止機能の追加
・カメラによる明るさ調整機能の追加(バッテリー持続時間の改善)
・暗闇での撮影機能の向上
・インターネットブラウザで動画の視聴が可能に
・New3DSは以前の3DSより少しだけ画面が大きくなった
・New3DSはカバーを取り外して別売りカバーで着せ替えが可能

前面カメラの横には赤外線LEDランプが追加されている。
(公式サイトによると暗闇でブレ防止機能を使うためらしい)

簡単に言ってしまえば、「部品が増えて、かゆいところに手が届くようになった」
といったところか。

●新しい機能は必要か
少し厳しく見てみよう。
立体視機能を使わない人にとっては3Dブレ防止機能は使う機会がなく、
NFCは専用の遊びや電子マネー決済を使わなければ不要だ。
CスティックやZL、ZRボタンなどはモンスターハンター以外で使う機会が
あるかどうか…

こう捉えると、新しい機能は絶対に恩恵を受けられるというわけでもない。
北米では立体視機能を外し、画面を閉じることさえできない廉価版の2DSが
出ていることを考えると、New3DSは無駄になるかもしれない機能を多く持っている。
New3DSは2DSのコンセプトの真逆をいっているように感じられる。

ゲームを遊ぶだけなら今までの3DSを買う、という選択もありだと思う。

●ゼノブレイドは3DSでは遊べない!? New3DS専用ソフトは増えるのか
Wii用ゲームの名作といわれる、モノリスソフト製作RPG、ゼノブレイド。
今回、ゼノブレイドがNew3DS専用(今の3DSでは遊べない)として発売されることも
発表された。

この情報に対して、New3DSは半次世代機であり、今までのユーザーを切り捨てる
行為だ、と断じる意見もネット上で見かける。

個人的な意見だが、New3DS専用ソフトはおそらくそれほど増えないと思う。
現時点のNew3DSのシェアは0台。しかも海外での発売予定はアナウンスされていない。
こんな状態でNew3DS専用にゲームを作ろうとする会社がどれだけいるだろうか?

ゲームの映像をリッチにするのは主に"GPU"の仕事。CPUが多少強化されても
表示できるポリゴンが大きく増えることはないわけで、グラフィックを向上させる
手段としては、ちょっと遠回りが過ぎる。
性能が必要なら他のゲーム機を選択するほうがよほど利口だ。

ゼノブレイド自体もWiiからの移植作品であり、完全新作ではない。
任天堂ですらNew3DS専用に完全新作を作っている余裕があるかは疑問が残る。
今回のゼノブレイドはあくまで実験の成果物…オマケ的な取り組みなのではという見立てだ。

●CPUの仕事が増えた
New3DSではCPUが強化されたことが明言されている。
「もしかして他の部分も強化されているのでは…」と考えてしまう人もいるだろうが、
これも個人の意見だが強化されたのはCPU"だけ"だと思う。

New3DSではカメラから情報を取得して3D立体視表示のブレ補正を行ったり、明るさ調整を
行う機能が追加されている。追加の機能を実行するためには今までより余分な
処理パワーが求められる。明るさ調整はともかく、顔認識を今までの処理プラスアルファで
行うためには追加チップを置くか、従来のシステムを補強する必要がある。
そこで時代相応に小型化されたCPUをクロックアップした、とすれば余計な部品や
スペースは不要となるわけで辻褄が合う。

●任天堂のスタンダードが更新された
New3DSの登場で、携帯機とWiiUのような据え置きゲーム機との差が縮まった点にも注目したい
先にも触れたように、任天堂のゲーム機には普段遊ぶには必要かどうかも
わからない機能や入出力装置がいくつかある。

今回共通となった機能は以下のものだ。
・NFCリーダ・ライタ
・右アナログスティック
・ZL、ZRボタン

任天堂は、今後据え置き型ゲーム機と携帯ゲーム機の開発環境を統合していくという
発表をしているので、製作環境だけでなく、ハードウェアレベルでも共通点を
増やそうとしているのかもしれない。

「前面カメラ」「画面つきタッチパネル」「NFCリーダ・ライタ」などは他社ゲーム機には
標準搭載されていない機能だ(Xbox OneはKinectを標準から外してしまった…)。

もし今後、3DSの本当の後継機種となる次世代機が出るとしたら、こういった機能も
継承される可能性は結構高いのではないだろうか。

●なんで次世代ゲーム機を発表せずNew3DSなの?
全く新しいゲーム機を出すということは、専用ソフトを複数開発してその商品価値を
はっきりとさせ、市場を盛り上げる必要がある。
任天堂はまだWiiUを軌道に乗せていないどころかタイトル不足を自社のタイトルで
まかなっていかなくてはならない状態だ。
ゲーム機の機能・性能に対して自社で責任を負う必要があるのでゲーム分野は
しばらくは足場固めの時期になるのではないだろうか。