ゲーム機が辿る未来について考えたとき、いくつか興味深い技術がある。
例えばOculus RiftのようなVRヘッドマウントディスプレイやNFCを応用したデジタル連動商品だ。
今回は期待株のOculus Rift…ではなく枯れた技術のNFCとゲーム連動について考え、予想を
立ててみよう。
もちろん、ここに書くことはあくまで妄想に過ぎないので真に受けすぎないように。

■薄く、小さく、安く、かざすだけで通信できる低容量のメモリータグ
NFC(Near Field Communication)は10cm程度の近距離無線通信技術の一種だ。
開発にソニーが関わっている技術だが、ゲーム機ではWii Uに採用されている。
主に交通網での電子マネー決済に使われているあたり、かなりの小型・薄型化が可能だ。

■記憶容量は頼りない?
NFCタグの記憶容量は少ないもので164Byte(バイト)。うち、ユーザー領域は144バイト程度だ。
プログラミング経験のある人なら、これが保存容量としては前時代的な、かなり小さいものだと
わかると思う。
一方で容量が大きめのものは1KB~3KB(キロバイト)のタグも存在する。これくらいなら
まぁいいのかもしれないが、初代プレイステーションのメモリーカード容量が128KB
(これを15ブロック分に割り当て)であることを思い出すとまだまだ不足の感は否めない。
一応、同容量であるセガのビジュアルメモリでは128KBを200ブロック分に割り当ててアイコンまで
利用していたから工夫次第か。

ネットワークに常時接続している機器との連動を考えれば、接続するアドレスと
ユーザーアカウントを保存するには充分な容量だともいえる。
ネット接続を前提とした方がNFCのパフォーマンスをより活かす事ができるだろう。

■単価から商品展開を予想する
多くの情報を保存するには少し高いNFCタグが必要になる。
個人でも安いものなら1枚70円~120円程度の価格で購入できるようだが、これを製造原価で
組み込むとしたってトレーディングカードや300円程度の食玩にはコスト高になりすぎる。

NFCタグを組み込んだ商品は現状では少し高額にせざるを得ないと思う。

・ゲームセンターのICカードのような、会員カード的な価格と使い方
・800円以上のコレクションフィギュアに組み込む
・より高額な商品に組み込む、またはオマケとしてNFCカードを同梱する

上に挙げたようなやり方が現実的ではないだろうか。

■任天堂のNFP(Nintendo Figurine Platform)
最近の任天堂の事業説明会によると、今年の最優先課題として、
「Wii U GamePadがあるからこそ実現できるソフトタイトルを提案すること」
を挙げているそうだ。 これに関しては6月のE3で発表を行うとしているが、他にも
「Wii U GamePadに搭載されているNFC機能を徹底活用する」
「年末商戦から、ビデオゲームと連動する、NFC機能を埋め込んだフィギュア群を展開する」
とも発言している。

ポケモンスクランブルUという前例はあったものの、NFC採用フィギュアの展開で海外メーカーに
遅れをとっている任天堂が今年からやっとNFPというものを展開していくそうだ。

年末にキャラクターのフィギュア商品…ときくと、大乱闘スマッシュブラザーズが連想される。
スマブラの設定はキャラクターの本人でなくフィギュア同士が闘っている、というもので
同キャラクター間の対戦やサイズ、パワーバランスなどの矛盾にもっともらしい理由を
もたせている。 フィギュアを商品化するには最も理想的なタイトルだと思う。、できれば
他社から参戦しているロックマンやソニックまでNFCフィギュアを出してくれると個人的に
とても嬉しいのだが。

スマッシュブラザーズの後にも毛糸のヨッシー(仮)やゼルダの伝説の完全新作など
フィギュア連動の可能性が考えられるタイトルはいくつかある。

任天堂プラットフォームで展開していく複数のソフトとの連係を前提に設計されている、と
されるNFPが一時的なもので終わらないことを期待したい。

■他社のゲーム用NFCフィギュア
既に海外では『スカイランダーズ スパイロの大冒険』や『ディズニー インフィニティ』など
ゲームと連動するフィギュア商品がヒットしている。
『スカイランダーズ スパイロの大冒険』の場合はNFCを常時認識させる必要があるそうで、
WiiU GamePad での認識には対応していないらしい。

ゲーム用のNFC連動を考えると、NFCリーダ・ライタの形状は上に何かを置き続けられる方が
遊びの幅が広げられるのかもしれない。

■NFC連動商品はコレクションアイテムとして戦っていけるか
前回の妖怪ウォッチの話とも少し繋がるが、アーケードやコンシューマゲームと連動する
コレクションアイテムは、児童向けメディアミックス展開のヒット要因として重要なものだ。
(ガイメタルは少し絵ヂカラと関連性が弱い気がするけど…)

日本ではNFCより強力なデジタル連動手段としてトレーディングカードが立ちはだかっている。
カードにNFCタグを組み込むこともできないことはないが、価格が高くなるとトレードには向かず、
デッキも組みづらい。

機械にコードを読み込ませるだけならコピーによって強いカードの偽造もできてしまうが
NFCは紙よりは偽造しづらく、記録、育成、カスタマイズなど個性を付与できる利点がある。
NFCを採用する以上は、コレクションの多様性(量)より質(多機能・長持ち)の路線を行くことに
なるのではないかと思っている。

■あえてキャラクターでないNFC連動を考える
キャラクターフィギュアと関連付けるということは、別の視点で見ればキャラクターを使う
事に縛られているともいえる。 ユーザアカウントから発展してギルド、コミュニティを
示すNFC連動などを提案してみるのも面白いかもしれない。昔のアーマードコアでいう、
ミラージュ、クレスト、キサラギなどクライアント・スポンサーであったり、
エルフ、ドワーフ、アンドロイドなど種族やプレイスタイルを育てるという大きく捉えた
ものがあると高い年齢層からも支持を得られる機会は増えたりしないだろうか。