かなり昔にゲーム雑誌でルックとプレイのバランスについてふれた
コメントを見かけたことがある。 なぜか今でもその事を憶えていて
時々気にしながらゲームを見たりする。

自分の中である程度落とし込んでいるが、物事をLook(みる)とPlay(あそぶ)の
2つに分割してとらえてみよう。

例えば、ゲーム中のムービーやイベント中のデモシーンでは
プレイヤーは基本的に操作することができない。
ゲーム中にたびたび挿入されるムービーに長年うんざりさせられている
プレイヤーも多いのではないだろうか。

●Lookに使われる待ち時間

細かく見ていくと操作できないシーンは多い。下はその一例。

・データ解凍やメモリ展開を含むデータ読み込み(ロード)時間
・ステージが開始されるまでの待ち時間
・ステージなどのクリアー演出
・攻撃モーションが出ているとき(技など)の硬直時間
・ターン制RPGの戦闘におけるコマンド入力を除く全ての時間
・ダメージを受けた瞬間やダウン、起き上がり時間
・相手から脱出不可能なコンボを一方的に受けている時間
・ターン制シミュレーションゲームでの相手のターン
・ムービーなどのイベントデモシーン
・エンディング

操作できないシーンは、プレイヤーに観てもらうことで状況を把握させるという
意味もある。 一概に悪いものとはいえないが、マイナス要因のイメージも大きい。
そんな中で、実際に操作できないシーンを改善した例もある。

・ロード中にミニゲームが遊べる
・デモシーン中にカメラを動かしたり余計なことができる
・イベント中にクイックタイムイベント(QTE)が発生し、時間内にボタンを押す
・エンディング中にミニゲームがある

ロード中のミニゲームは特許で使用できなかったり、QTEは安易に導入して
ひんしゅくを買うといったケースも見られるので全てが上手くいくわけではない。
それでも、待ち時間に対して何かできるようにしようという向きはここ十年ほどで
強まってきたと思う。 技術力とはまた別のノウハウだ。

近年では待ち時間が多くなるようなゲームデザイン(ジャンル選択)をしない傾向も
見られる。 日本ではまだまだ前時代的なターン制が残っているが、海外製のゲーム
ではリアルタイムで進行するジャンルがほとんどになってきているという印象を
持っている。
日本の大作RPGでもエンカウントやターン制から抜け出して、オンラインRPGに
近いシステムを採用しているものが多い。

●Playを奪ってまで挿入される、Lookの意味、メリットとは

見ることに特化したシーンの一番の存在意義は状況把握だと思う。
まず何が起こっているかを認識できなければ操作もおぼつかない。
原始的なものではステージスタートやゲームクリアの演出がこれにあたる。

他にもゲームに複雑なストーリー展開や心理描写を持ち込んだりも可能にする。
せわしない操作が数分間続き、一時的に気を休めることができるように緩急を
つけることもできるし、必ずどこかしらには操作の必要がないシーンがないと
集中力などの面でついていけなくなる。

●Lookの要素は毒にも薬にもなり得る
ビデオゲームには自由に操作できる魅力だけでなく、演出にも強い魅力がある。
スーパーロボット大戦シリーズのように戦闘シーンを見て楽しむことに特化して
作られているゲームもある(もっとも、現在は戦闘シーンのカットが可能だが)。
特に国内のゲームはリアルタイムでないものが多い分、長所と短所をよく見極める
力が必要なように思う。