今年で30周年を迎えた東映の特撮番組・宇宙刑事ギャバン。
海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIEや
特命戦隊ゴーバスターズに二代目ギャバンのゲスト出演、そして10月には
新旧ギャバンが競演する宇、宙刑事ギャバン THE MOVIEが公開される。

今回は未だ根強い人気を誇る宇宙刑事ギャバンの魅力と影響について触れてみる。

●キレのいいアクション
主人公、ギャバン/一条寺 烈を演じる大葉健二のアクションがとにかくすごい。
特撮に映画スターのようなアクションと演技が求められた時代だ。
他キャストのレベルも半端でないが大葉健二はまさに別格だ。

数年前まで、平成特撮の多くは安全性やわかりやすさのためかスローダウンの
傾向にあった(最近は随分改善した)が、この時代ではそんなことはなく
格闘シーンやカースタントなど身体を張った迫力の演技が目立つ。

●蒸着
0.05秒という短時間で変身していることを強調するために、一瞬で蒸着した後の
リプレイで電送 → 蒸着の変身過程を見せるという形で表現されていた。
このため他のヒーローの変身より自由かつ、合理的なタイミングで変身シーンを
挿入することができ、作品のリアリティとオリジナリティを押し上げていた。

●敵がパワーアップ、表現も自由な魔空空間
ダブルモンスターなどが3倍にパワーアップする魔空空間。
異界のバトルフィールドに移動することで、撮影場所の変化など映像的な矛盾に
説得力を持たせている。また街中でおおっぴらに戦うよりヒーローの隠密性が保たれ、
3倍にパワーアップしたモンスターを倒すことでギャバンの強さにも説得力が生まれている。

●娯楽性
どんな番組でも毎回同じことをやると安心感は出るものの、緊張感が薄れてしまう。
ギャバンがかなりきわどいピンチに追い込まれたり、映像演出を単純な戦闘シーン
以外に使われるような脚本であったりと、毎回『今回は何を見せてくれるのか』という
期待を抱かせる内容になっていた。

●印象的な挿入歌と必殺のテーマとなったBGM“マクーの攻撃”
“輝く王者ドルギラン”が流れ、電子星獣ドルがマクー円盤を落としまくる。
ダイダガ節で有名な“蒸着せよ!ギャバン”。
ギャバンがレーザーブレードを抜き、ギャバンダイナミックを放つまでの間に
流れることが多かった曲が“マクーの攻撃”は特に印象深く、後の特撮やアニメ等に
多くリスペクトされている。
後に続く宇宙刑事シリーズ、破邪大星ダンガイオー、神魂合体ゴーダンナーなどは
完全に同じ流れを汲んでいる。


――知っている人には今更だが、早足でまとめてみた。

宇宙刑事ギャバンはアニメや特撮が好きな人にはぜひ一度でも見てもらいたい、突出した名作だ。
今後作られていく番組が宇宙刑事ギャバンが持つ良い部分を汲み取り、よりよい形に昇華させて
いくことを願っている。